前回は「失礼のない」ビジネスメールの書き方について説明しました。 口語表現である短縮形を敢えて用いることで、フレンドリーでマイルドな表現にできること見ていきました。
いったんビジネスメールからは離れ、今回は短縮形の種類について見ていきましょう。 特に、少し難易度の高い「二重短縮」について説明していきます。 (こちらはビジネスメールではあまり見かけません。)
目次
短縮形とは
ここで言う「短縮形」とは、主語、Be動詞、助動詞、否定などの特定の組み合わせに対し、 文字を省略し、その部分にアポストロフィ(')を付けるものです。
前回の記事で用いた例を見てみましょう。
It is not you. → It's not you.
"It" と "is" が結合し"i"が省略されています。 省略された部分が分かるように、アポストロフィが打たれています。
ネットで検索すると良いリストがたくさん見つかるので、詳細はそちらに譲りましょう *1。
二重短縮
ここからが本番です。 皆さんは「二重短縮」をご存知でしょうか。 (私は中学・高校で学習した記憶がありません。比較的最近まで知りませんでした…) 例えば、"I'd've"という表現があるのですが、何を略したものだかわかりますか?"I would have"を略したものです。
このように、二箇所を省略して三つの単語を結合することを、文字通り二重省略と呼びます。あまり見かけないのも当然で、基本的にライティングでは使用されません。ネイティブが自然に早口で話したときの音を表したものだからです。ほとんど会話でしか使われません。
例文
例文を見てみましょう。
例文1
I shouldn't've left you. = I should not have left you.
君をおいて出ていくべきじゃなかったよ。
(should not have done で「(実際にはやってしまったけど)するべきではなかった」という意味になります。)
例文2
If you'd asked me to marry you, I'd've said no. = If you had asked me to marry you, I would have said no.
もしあなたが私に結婚を申し込んでいたら、私は断ってたけどね。
(「would + have + 過去分詞」の形で、仮定法過去の主節で使われています。)
発音
BBCによって運営されている非ネイティブ向けの英語学習コンテンツ「BBC Learning English」によると、 二重短縮を自然に言えればネイティブの話し方に近くなるとのこと。
Speak like a native, use double contractions:https://t.co/107za36y7o #learnenglish #pronunciation #elt pic.twitter.com/5aYSXWtlWf
— BBC Learning English (@bbcle) March 1, 2017
以下の動画で、どのように発音するか確認できます。
Pronunciation - double contractions
ネイティブの先生に確認したところ、『ライティングで二重短縮を使ったことは無いけれど、言われてみればスピーキングでは自然に使っていた』とのこと。ただし、『小説では見かける』そうです。
ネイティブは二重短縮を
二重短縮のリスト
主要なものを見ていきましょう。 詳細なリストはこちらのリンクを参照*2。
主語+would+haveの二重短縮
元の形 | 短縮形 |
---|---|
I would have | I'd've |
you would have | you'd've |
he would have | he'd've |
she would have | she'd've |
we would have | we'd've |
they would have | they'd've |
助動詞+否定+haveの二重短縮
元の形 | 短縮形 |
---|---|
could not have | couldn't've |
should not have | shouldn't've |
might not have | mightn't've |
must not have | mustn't've |
cannot have | mustn't've |
三重短縮
二重があれば三重がある。なんと三重短縮まであります*3。
例えば、
'twou'dn't = It would not
I'dn't've = I would not have
ネイティブに確認したところ、これらの表現も『意識せずに使っている』とのことでした。 ちょっと発音してもらったのですが、ここまで省略されるとよくわかりませんでした…
まとめ
今回は会話表現である二重短縮について確認しました。 ネイティブは自然に二重短縮を使っています。 みなさんも自然に言えるようになるまで練習して、ネイティブのような喋り方を目指しましょう。 (私も練習します。)