前回は添削された日記の説明を行いました。今回はその続きです。
目次
日記
今回は3ついて説明します。
- During this week, it seemed the nearest station from my flat had been busyer than usual in the morning.
- A big event had been on this week in XXX park, which is across the street from my building, and today was the last day.
- My wife and I were thinking of visiting the event, but the admission fee was about £100 per person and too expensive for us.
- After a long discussion, we gave up entering the place but walked about in the area.
1と2は前回のエントリーをご覧ください。
添削
3文目
My wife and I were thinking of visiting the event, but the admission fee was about £100 per person and too expensive for us.
OK!
(妻と私は、そのイベントに参加しようと思っていた。しかし、入場料が一人約£100 (約¥15,000)であり私達にとっては高すぎた。)
この文は修正されませんでしたが、重要表現があるので確認しましょう。
My wife and I / I and my wife
語順の問題です。「私と妻」と言うときに、日本語ではあまり語順を気にすることはないと思います。しかし、それと同じ感覚を英語に適用してはいけません。
英語には「三人称と 'I' をandでつなぐときには必ず 'I' が後に来る」という明確なルールがあります。 よって 'I and my wife' は間違いです。 目的語で使用する際にも 'my wife and me' の順で使用します。
Hokkaidon told my wife and me that ...
(ほっかいどんが妻と私に...を伝えた)
非常に細かいルールですが、こればかりは覚えるしかありません。
正:My wife and I と My wife and me
誤:I and my wife と me and my wife
このルールは、my husband や my friend にも適用されます。
My wife / The wife
ところで、例文の中では "My wife" としていますが、別の表現は考えられないでしょうか。
一夫一妻制をとる社会では、妻は一人しかいないはずです。よって、明らかに「自分の」wife について話している文脈において、wifeが指す人物は一意的に決まります。ということは my の代わりに the を付けても良いような気がしてきます。
そう考えたのでネイティブに質問してみました。答えは『theでも間違いではないが基本的にダメ。myを使いなさい。』とのこと。その理由は以下のとおりです。
-
My wife / My husband:
- 一般的に使われる表現
-
The wife / The husband:
- 非常に冷たい響きで、夫婦仲が冷めきっているような印象
- 教養がない人がよく使う表現
オンラインの掲示板にも以下のような記述がありました。
Using 'the' instead of 'my' puts a bit of social distance between the speaker and their wife. (意訳:my の代わりに the を用いると、僅かに、話者とwifeの間に距離があることが暗示される) English Language Learners Stack Exchange
僅かな違いで意味深な表現になってしまいます…。 このように、一見、些末な違いに見えても、実は意味が変わってしまうことはよくあります*1。 自分では気づきにくいことなので、ネイティブや上級者に教えてもらいながら地道に一つ一つ覚えていくしかありません。
まとめ
今回は非常に細かいことを説明しました。
- My wife and I が正しい語順で、I and my wife は誤り
- My wife が通常用いられる表現で、the wife には含みがある
ライティングの完成度を高めるためには、こういった細かい点を一つ一つ潰していく必要があります。気の遠くなるような道のりですが、一緒に頑張りましょう。
*1:かの有名なマーク・ピーターセン著「日本人の英語」の冒頭で a chiken と chiken の違いが説明されています。私はそれを読んだとき衝撃を受け、『もう自分には英語をマスターするのは無理だ』と思い絶望しました。今では開き直って、「地道に一つづつ覚えていくしかない」と思っています。非常に印象的な説明なので、まだ読んでいない方にはご一読をおすすめします。