ほっかいどんの英国日記

英国で働く駐在員が現地の英語や生活情報をお届けします

日記添削:ブレグジットによる在英EU市民の苦悩

ここ最近、迷走しているブレグジット。2019年3月29日に離脱する予定だったのが延期されることになりました。一方、ブレグジット中止を求める嘆願書に5百万以上の署名が集まり、アクセス集中のため政府のサイトが一時ダウンしました。

私のオフィスでも常に話題になっているのですが、在英EU市民(フランス人、イタリア人など)の興奮っぷりは半端ないです。

最近のオフィスでのやり取りはこんな感じ。

おいおいブレグジットが延期されるってよ。テリーザ・メイは何やってんだよ…

結局延期?まあそうなると誰もが思っていたけど。

で、ポンドは…

Oh Gosh!
上がってるー!!!!!!

第一の問題は在留資格でしたが、在英EU市民はブレグジット後も在英資格を保証される事になっています。すると彼らの次の関心は自分のお金!対ユーロ為替レートの変動で一喜一憂しているのです。

今回は、そんな彼らの為替レートにまつわる彼らの悩みを英文日記に書きました。いつものようにネイティブ先生の添削を紹介します。

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目次


Brexit mess


英文

Recently my colleagues are (1) constantly always discussing Brexit all the time. Some of them are non-Brits so seriously concernined their (2) future futures in the UK. One of the most serious issues for them is (3) the GBPEUR exchange rate. Their salary is defined in terms of Pounds meaning their income in Euro decreases as (4) the Pound falls Pounds drop.


説明

  1. are always discussing ... → are constantly discussing ... all the time:表現
    ネイティブ先生によると、修正前の表現は『間違いではないけどぎこちない。理由は分からない。』とのこと。そんなこと言われたって私はもっとよくわかんないよ。。でも後者のほうが洗練された表現なのは間違いない。

  2. futureは通例単数(場合によっては複数可):文法
    「未来は一つだけなので、futureは単数形で用いる」というのは学校で習う基礎だと思います。ただ私は『theirが付くと、彼らの(their)将来は人それぞれだから複数形になっても良いんじゃないか?』と思い"theiry futures"と書きました。
    ネイティブ先生によると、『この場合は通例にしたがって単数を使った方がいい』とのこと。ただし、『「一人一人の将来」というように「一人一人」を強調したいときには複数形を使っても良い』ようです。例えば、子どもたちに対して『一人一人、自分の将来をきちんと考えなさい!』と言うときは "Consider your futures"のように複数形にすることもあるとか。
    しかし、この用法は通常使われないため、非ネイティブは使わないほうが安全だとのこと。さらに、上文では「一人一人」を強調したいわけではないので、通例に従って単数形にする方が自然です。

  3. The GBPEUR exchange rate:文法
    Theを付け忘れました。

  4. 「ポンド」を英語で:文法
    "Pound"は意味によって使い方が変わります。
    • 通貨単位としてのポンド:Pounds
    • 為替レートとしてのポンド:the Pound
    この文では「為替レートとしてのポンドが(対ユーロで)下がる」という意味なので、"the Pound"が正解です。直前に、"Their salary is defined in terms of Pounds"とありますが、「支払いの通貨単位はポンド」と言う意味なので "Pounds" で正解です。


重要表現は以下の通り。

  • タイトルの "mess" は「混乱」や「困ったこと」とうい意味です。普段からよく使います。
  • "Brits"は"Brit"の複数形です。"Brit"は"Birtish person"の略で「英国人」という意味です。新聞でよく見かける表現です。


GBPEUR


英文

Currently, GBPEUR is around 1.15 but was 1.4 before the referendum. Roughly speaking, their salary decreased by 20%! On the other hand, weaker (5) starling Pounds are (6) beneficial for preferable to those who (7) have decided to live in the UK for good and are investing in other currencies.


説明

  1. Poundsの繰り返しを避けてstarling:表現
    Poundsのより洗練された表現がstarlingです。通貨単位としても為替レートとしても使えます。どちらの場合もtheは付きません。ただし、具体的な金額を表すときには使いません。

  2. Prefer (Preferable) には比較の意味が含まれる:文法
    Prefer (Preferable) を用いるときは必ず "perfer A to B" のように比較対象を明示しなくてはいけません*1。文脈に当てはまる表現の一つは、比較の意味を持たない"beneficial"です。

  3. 過去の行動が現在に影響を及ぼしている場合は現在完了:表現
    あるある単純ミスです。「英国に住むと(過去に)決めた人たちにとって(現在)有益になる」ので、現在完了を用いて "beneficial for those who have decided to live in the UK..." です。

重要表現

  • "Referendum"は「国民投票」という意味です。この英文の中でreferendumは初出ですが、今の英国で"the referendum"と言うと、「(皆が知っている)その国民投票」=「2016年に行われたブレグジットの国民投票」を指します。他にも似たような"the"の使い方があります。例えば、経済の文脈で"the crisis"と言うと「(皆が知っている経済)危機」=「リーマンショック」を意味します。
  • "For good"は「これからずっと、永久に」という意味です。語感から何となくカジュアルな表現なのかと思っていたのですが、いつでも使える表現だとのことでした。


コメント

ブレグジットに関する動向は本当にmessですが、このような歴史的な瞬間に立ち会うことはなかなかできないので、ひっそりと動向を見守っていきます。

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*1:これも前回に続き、ロマンス系言語話者がよくやる間違いらしいです。"prefer"を"like"の意味で使う傾向があるとのこと。