似たような表現が多くあり、使い分けに困るのが「さらに・加えて」に対応する副詞です。この記事では
- Furthermore / In addition / Also
- Moreover / Besides
の使い方と分類を説明します。
先日、簡単なまとめをツイートしました。
「さらに・加えて」の表現
— ほっかいどん@英国在住 (@hokkaidon1118) January 26, 2019
- moreover: かなりフォーマル、自分の主張を正当化する根拠を出すとき
- in addition: フォーマルさは中位、単に加える意味
- besides: 口語的、自分の主張を別の角度から正当化する根拠を出すとき#英語学習 #英語
今回はより完全なリストを作成しました。いつもどおりネイティブのチェック済みです。
以前は私も使い分けに困り、毎回インターネットで検索していました。しかし、日本語はおろか英語で検索しても断片的な情報しか出てきません。すると体系的な理解がないため記憶に定着せず、次に必要になったときもまた一から調べ…ということを繰り返して時間を無駄にしていました。次第に『きれいに分類されたリストがほしいな…』と思うようになり、自分で作成するに至りました。
このリストを理解すれば、もう使い分けはバッチリでしょう!
本文では、順を追って分類の説明をしていきます。
目次
「さらに・加えて」の分類
分類の軸は「主張の強さ」と「フォーマルさ」です。
furthermore / in addition / also
まずは「強い主張」の無い furthermore / in addition / also から見ていきましょう。これらは意味的にほぼ同じです。単に「さらに・加えて」という意味で情報やアイディアを提示するときに使います。大きな違いはフォーマルさです。
普段はin additionを使うのが無難でしょう。
Hokkaidon started a blog. In addition, he created a Twitter account.
ほっかいどんはブログを始めた。さらに、彼はTwitterのアカウントを作った。
ブログを始めたという事実に続けて、Twitterを始めたという事実を単に付け加えています。
Alsoはより口語的な表現です。
I want to be an English teacher. Also, I want to be a mathematician. What should I do?
英語教師になりたい。数学者にもなりたい。いったいどうしたら良いんだろう?
英語教師になることと数学者になることには何の関係もありません。Alsoを使って単に情報を付け加えただけです。 ネイティブによると、上の文は『want to beと相まって、Alsoが非常に子供っぽく聞こえる』とのことです。注意しましょう。
Moreover / Besides
どちらも、既に何か主張しており、その根拠を追加で提示するときに使われます。特に議論をするときに使われる表現です。ネイティブによると『会話でBesidesを連発されるとイラッとする』らしいので、使い方に気をつけましょう。 (少なくともイギリス人の感覚的に、だそうです。アメリカ人がどう感じるかは分かりません。)
フォーマルさによる分類は以下のとおりです。
ただし、MoreoverとBesidesでは意味が少々違います。
まず、Besidesは、「別の視点から根拠を示すことで、それまでの主張をより確かなものにする」というニュアンスがあるそうです。
Traffic congestion is a problem in my city. Besides, the trains are very expensive.
私の街の交通渋滞は問題だ。さらに、電車賃が非常に高い。
『交通渋滞』と『電車賃』という2つの観点を総合し、この街の交通機関全体を問題視しているニュアンスが伝わってきます。
一方、Moreoverは、「同じ視点から追加で根拠を示すことで、それまでの主張をより深めていく」ときに使われます。
The delivery was more than two months late. Moreover, the watch was damaged when we finally received it.
配送は2ヶ月以上も遅れました。さらに、私がやっと受け取ったとき、届いた時計は傷ついていました。
『配送の遅れ』に加え『傷ついていた』事実を伝えることによって、『相手に非がある』ことを深めようとするニュアンスが出ています。 in additionやfurthermoreも代用できますが、それでは相手の非を責めるニュアンスが薄れ、単に事実を伝える意味合いが強くなります。
このように、MoreoverとBesidesを使うと語気が強まり、相手を責めるニュアンスになってしまいかねないので注意しましょう。(というか、私がネイティブの先生に注意されました。)
その他のニュアンス
今回はわかりやすく「主張の強さ」で2つのカテゴリに分類しましたが、ネット上で英語による説明を探すと様々な意見が見つかります。
まず、Furthermoreにはわずかに「新しい視点を加える」というニュアンスがあり、Besidesに近い意味を持つ場合があります。 (後述しますが、Oxford Dictionariesにおいて、FurthermoreがBesidesを参照していた理由がこれだと思われます。)
Besidesに関しては、『別の視点を与えるだけで、主張を強くするようなニュアンスは無い』という意見や『in additionなどと同じくニュートラル』といったものまで見つかります。つまり、Besidesのニュアンスはネイティブにとっても難しいということでしょう。
余談:英英辞書で調べてみた結果
分からない表現があったらまず辞書で調べるべきです。特に、細かいニュアンスを知りたければ英和辞書では不十分。英英辞書を読まなければ始まらない。ということで安心と信頼のOxford Dictionariesで furthermore / moreover / besides / in addition / also を検索したのですが…。その結果がこちら。
Furthermore: In addition; besides Moreover: as a further matter; besides Besides: In addition Also: In addition In addition: as an extra person or thing Definitions, Meanings, Synonyms, and Grammar by Oxford Dictionary on Lexico.com
…結局、全てin additionに吸い込まれていきました。
流石に無料オンライン辞書では不十分だったということでしょうか。
ただし、以下のことが示唆されます。
- 全ての説明が帰着するということからin additionはニュートラルな表現
- FurthermoreにもBesidesに似たニュアンスがある(上記の通り)
- いずれにせよin additionに行き着くので意味の違いは大きくない
とりあえず、無難にin additionを使っておけば安全、ということですね。
まとめ
「さらに・加えて」という表現は、まず、ニュートラルな表現かどうかに分類するとスッキリします。さらにフォーマルさで順序付けすれば整理できます。
ひとまず、普段使いはin addition、フォーマルなときにはfurthermoreとしておくのが無難でしょう。敢えて語気を強める必要があればMoreoverとBesidesを使うと効果的です。
ただし、細かいニュアンスについてはネット上でも様々な意見が交錯しているようなので、もしこのエントリーと違う意見があれば教えて頂けると幸いです。
その他の使い分けシリーズはこちらから。 www.hokkaidonuk.com