よく似た表現が大量にある「~に関して」についてまとめました。
英語でビジネスメールを書く上で頻繁に出てくるのが、話題を切り出す「~に関して」という表現です。ただし、インターネットで検索すると似たような表現が大量に引っかかり、どれを使っていいか分からなくなってしまいます。
そこで、主要な表現のリストを作成しました。私が仕事で英語メールを書き始めた頃にあったら良かったな、と思うような内容にしました。
今回もネイティブに内容を確認してもらっています。
各表現の大きな違いは「フォーマルさ」で、それを除けば基本的に互いに代替可能(Interexchangable)です。
フォーマルな表現
表現 | 説明 | 使いやすさ |
---|---|---|
with reference to | ビジネスレターの書き出し | ★★★ |
with respect to | より特定の物を指す、テクニカル | ★★★ |
with regard to | ややイギリス的、フォーマルで古風 | ★★☆ |
in regard to | ややアメリカ的 | ★★☆ |
in connection with | 少し冷たく距離を感じる、関連性を強調 | ★★☆ |
concerning | 優しい、フォーマルなabout | ★★★ |
中程度の表現
表現 | 説明 | 使いやすさ |
---|---|---|
as regards | with regard toのカジュアル版、ニュートラル | ★★★ |
as far as … is concerned | As regardsと似ているが強い | ★☆☆ |
regarding | ニュートラルで使いやすい | ★★★ |
in terms of | より特定のものを指す、テクニカル | ★★★ |
カジュアルな表現
表現 | 説明 | 使いやすさ |
---|---|---|
about | カジュアル | ★★★ |
RE: | Regardingの略で怠惰 (Lazy) | ★☆☆ |
表の説明にあるように、わずかながらニュアンスの違いがあり、 使い方を間違えると攻撃的に聞こえてしまう表現もあります。
以下では、ネイティブに教えてもらった「非ネイティブにとって使いやすい表現(★3つ)」と「注意して使ったほうが良い表現(★1つ)」について使い方とニュアンスを説明します。
なお、前回は「さらに・加えて」に対応する表現をまとめました。こちらもご参照ください。
目次
使いやすい表現
まずは、使いやすい表現(★★★)をよく使われる順にピックアップしましょう。
Regarding
非常によく使われる表現です。何が良いかというと、
- ちょうどよい中程度のフォーマルさなので
- 社内メールで頻繁に使われており
- 社外メールにも使用可能
ということで万能です。
使い方を見ていきましょう。
まず、「~に関して」を意味するaboutを代替できます。Regardingの方がよりフォーマルに響きます。
your recent email regarding the above proposal.
上記の提案に関する、あなたの最近のメール。
文頭で話題を切り出すときにも使えます。
特に、相手のメールを引用するときに便利です。
例として以下のような状況を考えます。
- ある会議が行われた
- ほっかいどんが、プロジェクトAのまとめ資料を作成し会議の参加者に送ることになった
- 会議終了後にJohneから議事録が送られてきた
From: Johne
To: Attendees
Subject: Minutes
Hi all,
Here are the minutes of the meeting:
Best regards,
Johne
このJohneのメールにまとめ資料を添付して返信します。議事録には複数のプロジェクトの説明があるので、どのプロジェクトに関するものかを明示したほうが親切です。 そんなときは、regardingで議事録の対応部分を引用して返信すればOKです。
From: Hokkaidon
To: Attendees
Subject: RE: Minutes
Hi all,
Regarding
We summarised the result. Please find attached.
If you have any questions, please let us know.
Best regards,
Hokkaidon
As regards
Regardingよりも少しフォーマルでニュアンスは中立。 普段の会話、社内外のメールなど、様々な場面で使えます。 ネイティブの先生おすすめの表現です。
As regards the first point in your email of 3rd February, we agree with you.
2月3日のメールの一点目に関して、私達はあなたの意見に賛成です。
With reference to
これもRegarding / As regardsとほぼ同じ使い方ができますが、かなりフォーマルです。既に相手が知っている話題を切り出すときに使われる傾向が強いようです。ビジネスレターの書き出しでよく使われます。
BBCの例文を引用しましょう。
Dear Ms Irvine,
With reference to your fax of yesterday, I am pleased to inform you that... Learning English | BBC World Service
With respect to / In terms of
Regarding / As regards と似たような使い方ができますが、より特定のものや具体的なものを指す時に使います。例えば、箇条書きされている項目のうち「この点に関しては」と強調する時など。With respect toはフォーマル、In terms ofはもう少し柔らかい表現です。
特定のものを指すことからテクニカルライティングや数学でよく使われます。
The derivative of f with respect to x.
f の x に関する微分。
We write f in terms of x.
f を x の関数として書く。
このあたりは決まり文句なので、使う必要のある人は覚えておいたほうが良いでしょう。私も論文を書くときによく使いました。
About / Concerning
最もシンプルでカジュアルな「~に関して」がaboutで、文頭で話題を切り出すときにも使えます。
以下の例文はas regardsのものと似ていますが、よりカジュアルな雰囲気が出ています。
About the first point in your email, it's OK with us.
メールの一点目について、私達は問題ないですよ。
また、文中で使うaboutの代わりにconcerningを使うことができます。以下の例文では、'question about'の代わりに'question concerning'を使い、よりフォーマルな響きにしています。
We have a question concerning the summary you sent.
あなたが送ってきたまとめ資料に関して質問があります。
注意して使ったほうがよい表現
RE:
主に書き言葉で使われますが、最近は会話でも使用されるそうです。こなれた表現ですがネイティブによると『丁寧ではないので、教養のある大人が多用してはいけない』とのこと。(こなれた感が格好良かったので、私もときどきRegardingの代わりに使っていました。)
とはいえ、公共料金の請求書のような少しフォーマルな手紙で使用されているのを見たことがあります。
As far as ... is concerned
'As far as ... is concerned,' は 'As regards ... , ' と同じように使われます。
気をつけた方が良いのは 'As far as we're concerned, ' という表現です。「私達の意見は」という意味なのですが、主に反論する時に使われます。そのため、使い方を間違えると非難していると捉えられかねないので注意しましょう。
Dear Ms Irvine,
As far as we were concerned, there was no point in remaining at the site any longer. Learning English | BBC World Service
'As far as I'm concerned'と言うこともできます。「自分の意見」が強調され、より直接的な表現になります。
ネイティブによると、『交渉を行う場合にはこういった表現を使いこなす必要がある』とのことでした。
その他の表現の使いどころ
ここまでで説明した表現を覚えておけば、普段の生活で困ることはないと思います。
ただし、英語は同じ表現の繰り返しを嫌うので、例えばwith reference toを同じ文章で何度も使う必要があれば、with regard to / in regard to / in connection with に言い換えても良いでしょう。(regardにsは付きません。気をつけましょう。私もいつも混乱します。)
なお、ネイティブの先生によると、with regard to はややイギリス的、in regard toはややアメリカ的らしいです。短い前置詞が付くほうがアメリカ的らしいです。
まとめ
「~に関して」に対応する英語表現はたくさんありますが、全てを完璧に使いこなす必要はありません。 状況に応じて限られた表現を使い回すことができれば十分です。
「注意して使ったほうがよい表現」については、自信が無ければ使わないほうが無難でしょう。