英語学習のためには「英語に触れている時間を長くする」ことが必要だと言われています。そのための方法の一つが「スマホやPCの言語設定を英語に変える」というもの。でもこの類の勉強法は本当に効果があるかどうか実感しにくいですよね?一方でそれなりに操作が面倒になるので、日本語に戻したくなってしまうんじゃないでしょうか。そう、まさに私はそう思いました。
私は『普段使うような単語を学べるわけでもないし本当に効果があるのかなぁ』と思いながらも、英国で海外生活を始める約半年前から、自宅PC、職場PC、スマホの設定言語を英語に変えていました。日本にいたときにはあまり具体的な効果を実感できずに面倒になってきていたのですが、惰性で英語設定をキープ。結果的に、英国赴任後に確かなメリットを実感しました。以下で私の経験とともに理由を説明します。
目次
英国赴任後に辛かったこと
なぜ英国赴任後に役に立ったかを説明するために、まずは赴任後に何が辛かったかを説明します。 特に海外経験もなく英語が飛び抜けてできるわけでもない私が英国に来て初めに苦労したのは、もちろん英語です。 そりゃ当たり前ですよね。では英語でどのように困ったのでしょうか。
赴任前に不安だった「英語による意思疎通」は何とかなった
英国に来る前は、仕事に通用するレベルで「英語を聞き取れるのか」、そして「自分の言いたいことが言えるのか」が心配でした。 つまり私は、英語で十分な意思疎通ができるか、ということをまず心配していたわけです。 そしてよほど英語ができる人を除いて、誰もが初めに心配することだと思います。
実際どうだったかというと、もちろん苦労はしましたが、私は専門職をやっていることもあってギリギリ何とかなりました。 対面のコミュニケーションで相手の言っていることが分からなければ何度も聞き返せばいいですし、複雑なことでなければ中学英語でだいたい伝わります。 メールであれば、相手の英文をじっくり読むことができますし、自分の言いたいことを検索することもできます。 ということで意思疎通のステップは何とかクリアできました。(もちろん相手が歩み寄ってくれたからコミュニケーションが成立していたに過ぎず、相手に迷惑をかけていたわけですが。)
赴任後に味わった「英語で作業することによる負荷」
本当に辛かったのは、そして今でも辛いのが「全ての作業を英語で行うことによる負荷」です。そして実際に経験してみると、日本にいたときに想像していたよりも辛いものでした。
当然ですが、英語圏に来たら仕事や日常生活に関わる全ての作業を英語で行わなくてはいけません。 日本にいたときに何気なく処理していた一つ一つの作業が、英語で処理することによってちょっと面倒な作業に変わります。 それが積み重なると、一日が終わる頃には疲れ切っているというわけです。
例えば、
- 会社の人事に必要書類を送る
- 会社の人事システムに必要事項を入力
- 銀行口座開設のための書類作成
- 電気・水道・インターネットの契約
などなど、日本において日本語で行えば(まあ面倒くさいですが)簡単に処理できる作業が、英語になることで赴任直後には大きな負荷になりました。 それに加えて日本語でも面倒な
- 会社でPC環境のセットアップ
も行わなくてはいけないので負荷は増します。 このような細かいことが負荷になるなんて、赴任以前には想像していませんでした。
さらに、特に赴任直後は英語で考えていると思考力が著しく低下しました。 頭にもやがかかっているような感じで論理がダメダメ。 英語で考えることによる思考力の低下は、「なんで駐在員は大変なのか (英語編)」で見事に言語化されています。
小さい負荷を予め取り除いておく
よほど英語に慣れた人でなければ、英語で作業することによって負荷が増すはずです。 したがって、これから英語圏で生活しようと思っている人は、日本にいる間に少しでも上記のような負荷を減らしておくべきです。 やっと本題に入りますが、負荷を減らす方法の一つが「スマホやPCの設定言語を英語にする」ことです。 私の経験を具体的に説明します。
PCの設定
私は日本にいたときから職場のPCの言語設定を英語に変えていました*1。何かPCの不具合が起きると解決策を日本語で検索するわけですが、英語表示との対応を見つけるのに少々苦労しました。ソフトウェアに依るのですが、特にMicrosoft Officeの設定が日本語と英語で全然表現が違って厄介でしたね。 「あれー?あのオプションを変更したいんだけど…。この辺にあったはずなんだけどなー。」と思いながら、日本語から予測される英語を探しても見つからない。よくよく英語を読んでみると全く違う表現になってました。(英語で検索する癖を付けておけばより良かったんですがそれはちょっと面倒でした。)
そのような経験もあり日本にいるうちに慣れていたので、英国赴任後にもPCの表示言語であまり戸惑わずにすみました。 私より英語のできる人でも、PCの言語設定が変わったことで赴任後に多少苦労したようです。
また、赴任直後は現地の社員に動きを見られているものです。事務処理や細かい作業を迅速にこなせないと、『どんくさいやつだな』と思われかねません。この辺は先程紹介した記事で触れられている初期の「信頼」に関わってくることなので、準備しておいて損は無いと思います。
スマホの設定
私は日本にいたときにスマホをSIMフリー化しておいて、英国到着後、すぐに空港でSIMを購入しました。 設定方法は当然英語で書かれいるわけですが、既にスマホの英語表示に慣れていたのでどこを見ていいかすぐ分かりました。 もし日本語設定にしたままだったら、「説明書を読む→わからないところをスマホで検索→スマホで設定」のように行き来して、 対応箇所を探すのに手間取っていたと思います。
英国到着直後はフライトの疲れと漠然とした不安があったので、スムーズにSIMを設定できたのは大きなプラスでした。
その他の効果
ちょっと話がそれてしまいますが「英語で話しているときに思考が日本語モードに戻らずに済む」というのも英国に来てから実感しました。多分、こちらの方が一般的に言われているメリットに近いですね。
例えば同僚と英語で話していて、話の流れでスマホで少し調べ物を始めたときのことです。 スマホに表示されていた日本語がちらっと目に入ったことで、思考が日本語モードに引き戻されてしまい一瞬英語が出てこなくなってしまいました。 その時、言語設定は英語にしてたんですが、ブラウザに残っていた日本語が目に入ってしまいました。
言語設定を日本語にしていればもちろん日本語が目に入る機会が増えるので、日本語モードに引き戻される可能性が増えてしまうわけです。
結論
冒頭でも述べたように、私は英国に赴任する半年程度前からPCやスマホの設定言語を英語に変えていました。日本にいたときは、英語力を伸ばすと言う意味での効果は実感できずだだ面倒になっただけだと思っていました。しかし英国赴任後に効果を実感し、そこで改めてやっておいてよかったなと思えました。したがって、これから英語圏で生活し英語設定のデバイスを使用する予定がある人には強くおすすめします。そうではない人でも英語に慣れて「英語でできることを増やす」ことができるのでやっておいて損はないと思います。
*1:周り人から「なんでわざわざ英語にしてるの?意識高っwww」といじられても「いやロンドン行く前に慣らしておこうとおもって」と返していました。